生活保護の手続きから受給まで、安易に申請してもいい?
不況のあおりを受けて会社が倒産!お金がない、しかも今働きたくても働くことが出来ない。そんな時、国に生活保護を申請し生活保護費で生活する手続きを取る人が増えています。生活保護の手続きはどのようにすれば良いのでしょうか。手続き後どのくらいしてお金が手に入るのでしょうか。
また、受給の資格についても詳しくお話ししていきましょう。これから生活保護を申請しようと思っている人には必見です。またお金がないから、即生活保護申請をするのではなく、何とかお金を作る方法がないかも併せて考えていきます。参考にして下さいね。
生活保護受給の詳細について
お金がないから生活保護を受ける。そう考える人が多いです。生活保護とはどのようなことなのでしょうか。まずは生活保護について詳しくお話ししていきましょう。
生活保護とは資産や働くという自分の能力を出し切っても、どうしても生活が成り立たなくなった時、その生活程度に応じて国が最低限の暮しを援助し、最低限の生活が成り立つ為に助成する制度です。
生活保護を受ける為の要件
- 生活保護は世帯単位で行われる
- 預金不動産など資産は売却し生活費に充てること
- 働ける人は能力にしたがって働くこと
- 年金などの給付を受けること
- 親族の援助をうけられる場合は援助を受けること
生活保護は原則世帯単位で行われます。例えば高齢の母親と実質勤務し収入のあるその子が同居している場合には、母親の生活は子どもの援助を受けることになります。母親だけが生活保護を受けることはできません。
ただ母親が要介護の為自立できず、子供との同居を余儀なくされている場合には単体での生活保護支給が認められる場合もあります。窓口に相談して下さいね。
預金や不動産、生命保険に至るまで資産とみなされるものは、すべて売却し、生活費に充てる必要があります。それもすべて無くなってからの生活保護申請となります。
生活保護を受けるのは本当に生活出来なくなった時
病気の為にどうしても働くことが出来なくなった。親族には親族の生活があり、どうしてもお金の面での援助が受けられない、年金の金額が少なすぎて、最低限の生活費には程遠い。そういった事が認められる場合のみ生活保護費の申請を行うことが出来るのです。
生活が苦しいから、そうだ!生活保護を受けよう。という訳にはいきませんよ。
生活保護を受けるのは最後の段階であることをまず知って下さいね。
生活保護申請から受給までの流れはこうなる
以後の流れは下記のようになります。
1事前に福祉事務所の生活保護担当窓口で相談する→2生活保護の申請(調査)→3生活保護費支給
窓口で相談し、生活保護受給の条件を満たす場合には保護の申請を申し出ます。申請を受けて国ではしかるべき調査を行います。調査内容は次のようなものです。
- 実地調査(家庭訪問による)
- 資産調査(預金生命保険、不動産など)
- 扶養の可否を調査
- 年金就労などによる収入調査
- 就労可能かどうかの調査
国が国民から預かる大切な税金を生活保護費として流用するのですから、その調査は当然厳しいものになります。
特に昨今では不正受給などの不祥事が目立つため、より厳しい調査のもとで支給されているのですね。
基本的には自分で何とかできる内は保護に頼らず、何とか自立して生活する方向を指導しますが、高齢やシングルマザー・ファーザー、病気の為働けないなど、どうしても自立での最低限の生活も難しいなどの理由が認められれば生活保護の支給となります。
申請から受給までかかる日にちですが、まず申請から14日以内(状況によっては30日前後かかることもある)に可否が決定します。決定から受給までの間、生活に困窮する場合には「臨時特例つなぎ資金貸付」という社会福祉協議会の行う貸付を利用できる場合もあります。相談して下さい。
生活保護費の支給について
厚生労働大臣の定める、最低限の生活費から収入を差し引いた金額が毎月保護費として支給されます。
受給者には次のような義務が生じます。
- 毎月の収入額を申告する
- ケースワーカー訪問調査を受け入れる
- 就労に向け意欲的に活動する
毎月収入がいくらあったのかを申告し、生活保護費を受給することになります。福祉事務所のケースワーカーが必要に応じて訪問調査を行います。就労可能なら就労に向けての助言や指導を行います。
その他、生活保護受給者にはさまざまな規制があります。次の項目ではその規制についてと、生活保護受給者に与えられた権利についてお話ししていきますね。
規制の多い生活保護受給者の生活とその権利
生活保護の支給が決定し受給を受ける人には、さまざまな規制が課せられます。どのようなものなのか挙げてみましょう。
- 資産と見なされるものは所有できない
- 自治体によってはギャンブルなども禁止される場合もある
- キャッシングなどお金の借入は出来ない
資産と見なされるもの、住宅、車、高額な装飾品などはすべて売却し、生活費にあてなければいけません。
自治体などではパチンコなどギャンブルも禁止されています。パチンコができるのなら就労可能とみなされますよね。
カードローン、キャッシングなど借入というよりも、返済は生活保護費で行うことができません。当然借入も不可ということになりますよね。
生活保護受給者には規制が課せられるとともに、権利も与えられています。
その権利とはどのようなものなのでしょうか。
- 正当な理由なしに決定された保護を変更されることはない
- 保護費については税金を課せられることがない
- 医療扶助介護扶助など本人の負担無しでサービスが利用できる
扶助には住宅、教育、結婚、出産、葬祭費などが限られた範囲内で実費支給されます。もちろん最低限に必要な費用で限られた範囲内ということですよ。働くことがどうしても困難な人にとっては、手厚い保護ということになりますね。
生活保護申請の前に考えなくてはいけないこと
病気や高齢の為に就労できない、子供を育てている為にどうしても最低生活費が捻出できない。生活保護を申請するにあたっては、それ相当の理由があると思います。もちろん無理をして命にかかわるような事態に陥っては元も子もありません。
そういう場合、困っている人にはみんなで手を差し伸べようという趣旨での生活保護だと思います。しっかりと身体を治して働けるようになるまでの間、子供の手が離れて働けるようになるまでの間、生活保護費受給で通常の生活を送れるようにして下さい。
そうでない人の場合、例えば充分働ける体力がありながら生活保護に頼る、資金があるのを隠して生活保護費を不正支給する。そのようなことは決してあってはいけないことです。
生活保護費は国民の税金であると知ろう
生活保護費の財源のほとんどは国民の税金です。コツコツと働いて納めた税金を利用しているのだということを知った上で、不正のない受給を心掛けるようにして下さいね。困った時には助けあうのが当然です。
売れる資産はないか、頼る親族はいないか、預金はすべて生活費にあててしまったのか、充分な就職活動は行ったのか、どんな仕事もできない状態なのか、そんなことを今一度考えてみて下さい。
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