キャッシングする前に総量規制を知ろう!安全な借入のために
キャッシングしたい場合、申し込みしたら審査があります。お金がないからこそキャッシングしたいのに、それだけでは審査に通りません。
その理由は返済能力が関係してくるのですが、ただそれだけでなく、貸金業法の中の規制の一つ、「総量規制」が関係している部分も多少なりともあります。と言うのは、申し込み時の状況が総量規制に引っかかるとお金が借りられません。
この総量規制とは何なのでしょうか。総量規制に関して勉強したいと思います。
お金がないからと消費者金融を利用し過ぎると多重債務になる!
キャッシングやカードローンを扱っている金融機関は、消費者金融や信販会社、銀行も含めて多くあります。借金を嫌いな人も多いのですが、実は、貸金業は人類最古の職業の一つとも言われるほど昔から存在するものです。
無人機(自動契約機)ができてからは特に借り入れしやすくなったのもあり、利用者が増えていきましたが、その分、お金を借り過ぎて多重債務に陥った人が多くいました。それが一個人の問題ではなく、社会問題にまで発展します。
貸金業法が改正される前と後では多重債務者の人数は変わった!
多重債務が増えて困窮する人が増えたこともですが、それにより自己破産する人や、悲しいことに自殺する人も多くいました。
そのおかげと言えるのでしょうか、問題になっていた多重債務者や自己破産、負債を原因とする自殺者も減っています。
サラ金5件以上の借り入れをしていた人数
法改正前 | 2007年3月 | 2012年3月 | |
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人数 | 230万人 | 171万人 | 44万人 |
自己破産数
2003年 | 2005年 | 2011年 | |
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件数 | 24万2,377件 | 18万4,324件 | 10万508件 |
負債を原因とする自殺者数
2007年 | 2011年 | |
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人数 | 1,973人 | 998人 |
データ元により、年数がそれぞれバラバラになっていますが、これらを見ると法律の改正前と改正後では、どれも数字がかなり減っていることが分かります。
総量規制は多重債務から消費者を保護するためにつくられた規制!
社会問題になっていた借金に苦しんでいる人を救済するために法律が改正されて、貸金業法ができました。ただ、現在進行形で多重債務に陥っている人のみを助ける法律ではありません。法律により、これらの点について整えました。
- 貸金業者の適正な経営
- 貸金業協会を中心として自主規制の強化を図る
- 業者の行為の規制強化
- 個人への過剰な貸付を抑制する
- 出資法の金利を下げるなど金利の整理
- 闇金対策の強化 など
貸金業法は、新たにキャッシングやカードローンを利用しようと考える人を守る、消費者保護を目的にしています。もちろん消費者金融をはじめとする貸金業を営む業者の適正な業務経営も目的の一つとされています。
その中で、新たな個人への過剰な貸付けを抑制する(貸し過ぎて多重債務に陥らないようにする)目的で整えられた内容が、「総量規制」です。
年収の1/3を超える貸付けの禁止で過剰貸付抑止をするのが総量規制
キャッシングの申し込みで過剰貸付をしないようにするための総量規制だと説明しました。
では具体的にどのような規制内容なのかと言うと、個人での貸付の総額(他社も含)が、年収等の1/3までに制限されることです。
これは、あくまで個人に対しての規制というよりも、貸金業者に「これ以上貸してはいけない」という規制になります。(結果的には同じになるのですが)
他社も含むとしましたが、人によっては1社だけでなく2社3社と貸金業者に申し込む人がいます。それら全部を含めての総額での話になります。
では、他社の金額をどうやって知るのかとなるのですが、個人が消費者金融などにキャッシングの申し込みや借り入れした場合、その内容が個人信用情報機関という機関に記録されます。
同じ個人が別の金融機関に新たに申し込みをしたなど、個人の他社借入額の確認の必要性が生じた場合、その内容記録を個人信用情報機関に照会することができるのです。(照会しなければ、気付かずに総量規制を超えた額を貸してしまう可能性が出てきてしまうからです。)
その為、一個人が申し込み時に、「他社への借り入れはない」「小額しか借り入れしていない」などの嘘をついたとしても必ずバレます。
お金が必要な人にとっては、とても迷惑に感じる法律かもしれませんが、これが最終的にその人を多重債務や自己破産から守ることになるのです。
年収と言ってもどんな収入が対象?定期的な収入は年金なども入る!
キャッシングを考えるのは、いろいろな職業やタイプの人がいます。その為、総量規制に該当する収入がどこまで当てはまるのか、ピンとこない人もいるかもしれません。
総量規制で言う収入は定期的に入る収入が対象になります。一例として、主にこれらが該当します。
- 給与収入
(控除前の総支給額になります。) - 年金や恩給
- 家賃などの賃貸収入
(事業としての場合は、別) - 個人事業主の事業所得 など
ちなみに、宝くじの当選金、ギャンブル、保険金、投資によるもの、退職金などの一時的な収入、資産譲渡での収入などは該当しません。
無収入ならば借りられない!専業主婦や無職のキャッシングは難しい
それぞれの年収によって数字は違いますが、年収の1/3という金額により、借り入れできる上限金額が決まってきます。
その点で気付く人も多いかもしれませんが、収入のない人の場合はどうなるのか。例えば専業主婦や無職の人です。
全く収入がない場合、「年収0円×1/3=0円」ということで、借り入れが全くできないことになります。
これは、どうしようもないことです。
そもそも収入がなければ、返済もできないのは考えなくてもわかるので、貸金業者は全て無収入の人は条件の面でも申し込みができないようになっています。逆に業者として申し込みを受けたいとしても、法律的に不可能です。
お金がないからキャッシングしたいとしても、まずは収入があることが最低限の必要条件となります。
例外や除外もある!キャッシングの方法によっては規制以上も可能
総量規制は、消費者保護の為に作られたものですが、全ての人に受け入れられるとは限りません。もちろんギャンブルなどの使い道はもってのほかですが、例えば急病になってお金が必要など、人によってはキャッシングの利用理由を考えると致し方ない人もいます。
そんな人までお金が借りられないほど法律も鬼ではありません。
総量規制には除外と例外があるのです。
住宅ローンや自動車ローンは除外!ただし法律と審査では別
総量規制の除外と例外としていくつかありますが、除外としてはこれらがあります。
- 不動産購入、不動産の改良のため(つなぎ融資含)
(いわゆる住宅ローン・リフォームローン) - 自動車購入時の自動車担保貸付
(いわゆる自動車ローン) - 高額療養費
- 有価証券担保・不動産担保など担保がある貸付
- 売却予定不動産の売却代金により返済できる場合
- 手形(融通手形除)の割引
- 金融商品取引業者が行う500万円超の場合
- 貸金業者を債権者とする金銭貸借契約の媒介
ここにあげた中には、一般的にキャッシングを考えている人にはあまり関係ないものもあります。主に関係してくるのは、住宅ローンや自動車ローンでしょうか。また、医療費なども状況によっては、関係してくる人もいるかもしれません。
いずれにしても本当にお金が必要な場合には、総量規制がそれを阻むことはないといえます。
ただし、キャッシングの方では問題なくとも、例えばキャッシングの後に住宅ローンを組もうと思っても審査に通りにくくなるなど、法律とは別の視点でローンが組みにくくなることはあります。
除外とは別に例外として借りられる!おまとめローンがその代表
総量規制の除外として先にあげた他にも例外としてこれらも場合も借り入れが法律的には可能です。
- 顧客に一方的に有利となる借り換え
- 緊急の医療費の貸付け
- 社会通念上、緊急に必要と認められる費用を支払う場合
- 配偶者とあわせて年収の1/3以下の場合
- 個人事業主に対する貸付
- 預金取扱金融機関からの貸付けを受けるまでのつなぎ資金
ここで一番利用する人が多いのが、顧客に一方的に有利となる借り換えです。これは、いわゆる「おまとめローン」と言われるものです。
おまとめローンは、いくつかの借金を1つにまとめるためのローンで、その場合は、年収の1/3以上借りることができます。
多くの場合、消費者金融でもおまとめローン専用の商品が用意されているのでわかりやすいと思います。
何故おまとめは例外になるのかと言えば、おまとめすることによって消費者の者金問題が軽減するから「顧客に一方的に有利」と判断されるからです。
ただし、例えば返済期間が長期になったり、おまとめしても実際には金利が変わらなかったなど、利用の仕方によっては月々の負担は減っても総支払額がおまとめする前と変わらないなどの可能性もあります。おまとめを考える時は、じっくりと調べてから申し込む必要があります。
配偶者とあわせての場合はまず利用する人がいない!
また、配偶者とあわせて年収の1/3以下、という内容ですが、今はほとんどの消費者金融ではこのような申し込みを受け付けていないようです。
そもそもこの場合、「配偶者貸付け」と言って、申し込む側の配偶者の同意とその人が配偶者であることを証明する書類、場合のよっては後で説明する収入証明書類の提出が必要になります。
多くの場合、配偶者に内緒で借り入れてしていることが多く、同意書が必要と言う時点で難しい利用方法といえます。
ただ言えることは、どのような理由であれ除外や例外もあるということを頭に入れておくと、本当に必要な時にキャッシングを利用する方法も検討することができます。
銀行カードローンは総量規制の対象外だがクレジットカードは要注意?
今まで説明した総量規制の対象となるローンは、個人向けの無担保のローンになります。わかりやすく言えば、主にキャッシングやカードローンと呼ばれるものが総量規制の対象になります。
ただし、クレジット会社のクレジットカードについているキャッシング枠は対象になります。(クレジット部分は対象外です。)
年収の1/3までと言われるのは、消費者金融やクレジット会社等のカードローンやキャッシング部分にあたるので、クレジットカードのクレジット部分や銀行のカードローンの利用者はあまり大きな心配は不要です。
とはいえ、それぞれローンには審査があります。これが審査に全く影響しないかと言えば、別の話になります。どちらと言えば審査に多少なりとも影響はあるので、考えて申し込みする必要があります。
金額によっては所得を証明する書類を提出する場合もある!用意が必要
総量規制としては、借入額の上限が年収の1/3と言う以外にも、取り決められた内容があります。
貸金業者からの貸付額が自社で50万円を超える場合、または複数社で合計100万円を超える場合には、収入を明らかにする書面の提出が必要となります。
よくキャッシングなどの説明で出てくる提出書類に関係していることですが、これも総量規制として取り決められているからなのです。
- 源泉徴収票
- 諸特徴名書類
- 納税通知書
- 確定申告書
- 給与明細書 など
多くの場合、これらが提出書類として扱われています。他にも貸金業者によって提出書類の内容がいろいろ、ホームページに記載されていると思います。
これらの書類提出は、法律として申込者個人へ課せられた訳ではなく、貸金業者が「提供をうけなければいけない」と貸金業者に課せられたものです。
ただ、業者はそれを受けられなければ融資をしないという結論を出すことになるので、結果として申込者個人にも必然的に必ず必要となってくるものです。
それ以外にも、業者の判断で必要とされると申込者個人へ提出を求めることがありますが、これは行っていることは同じでも審査の上で必要という意味合いになります。
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人によっては、なるべくキャッシング額が多い方がいいと思うかもしれません。しかし、これは過去に社会問題になった多重債務へ繋がることになってしまいます。
一見不便なものに見えるかもしれませんが、総量規制は貸金業者に対してのものであるとはいえ、借金をそれ以上増やして困らないように消費者を守るために作られた規制です。ただし、規制とは別にお金を借りるためには審査があることは忘れてはいけません。
とはいえ、本当に困った時には除外や例外のような使い方をすることだってできますし、いろいろな貸金業者や銀行があります。
一番問題なのは、お金が借りたいが為に嘘をついて借りることや、闇金に手を出すことです。これだけは絶対にしてはいけません。